第202章 当たり屋に来てもいいぞ

「私、咲菜。長谷川おばさん、風邪ひいたの?」

中野家。咲菜はソファに腰かけ、長谷川栞へ電話をかけていた。足元では中野蓮がしゃがみ込み、こっそり耳を澄ませている。

「ううん。ちょっとね、しばらく水飲んでなくて……喉が少し枯れただけ。心配しないで」

長谷川栞は咄嗟に理由をでっち上げ、指先に力を込めて目尻の涙の跡を拭った。

こんなに時間が経っても、感情の制御ができない。

自分が情けなくて、少し嫌になる。

「そっかぁ。じゃあ長谷川おばさん、先にお水飲んで喉を潤して? よくなってからまたお話しよ?」

蓮にぎゅっと手首を掴まれ、咲菜は困ったように言った。

「うん、今すぐ飲むね。……咲菜、...

ログインして続きを読む